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28歳独身フリーター、竹ノ塚ツブ子。夢なし!目標なし!彼氏なし!実家暮らし!人生暇つぶし!

桜味の味

25歳くらいまで、「顔が青い」という表現があまりよく分かってなかった。10代までは国語は人並みより少しできたし、大学は文学部みたいなところだったし、自分も小説を書いたりしていたけど、「顔が青い」はよく分からなかった。文脈から推測するに「体調が悪そう」と同義なのは理解した。なぜか、私には見えてない色がみんなには見えているのだと思っていて、自分にだけ見えないのは悔しいので、見えているフリをしていた。全くもってやる必要のない演技だった。24歳か25歳あたりで、ふと「あ、あれ比喩表現じゃね?」と思った。特にきっかけはなかったが。

知ったかぶりは良くない。知らないことや分からないことをそのままにしておくと、どんどん遅れをとるし、誤魔化していることはきっとバレてるし、世界史のテストで学年最低点をとったりする。

ところでこの時期になると、当たり前のように桜の香りとか桜フレーバーの商品が売り出されているけど、あの桜の匂いや味は比喩なのだろうか。それとも、今度こそ本当に私にだけ認識できない匂いや味なのだろうか。これだけは未だに確信が持てない。
桜の花見をしても、桜の匂いを感じたことがない。まあ、2011年から花粉症でまともに嗅覚が機能していないのもあるけど、それ以前も、たとえば金木犀やユリやバラみたいな、そういう花の匂いに心当たりがない。あと、小学校低学年の頃は落ちたばかりの桜の花びらをたまに食べていたけど、桜の味はしなかったと思う。食べたくて食べたわけではないけど、桜の花びらって少し引っ張りながら口に当てると笛になるので、その過程でよく食べていた。もっと大量に食べれば理解できただろうか。
古の桜味として桜餅があるが、桜餅は桜の葉が巻かれているから桜餅でいられれのであって、餅と餡子の部分だけだったら、ピンク色に着色された餅菓子ってことになるのでは。ソーダ味にソーダっぽさを出すために青色着色料をぶち込むノリで、桜味にも赤色着色料をぶち込んで砂糖をドバドバ注いでいるのでは。つまり駄菓子と一緒では。駄菓子のメロン味は「メロン」の味ではなく「メロン味」の味がする。桜味も「桜味」の味だと思っている。
ということで、私は今のところ桜の匂いや桜味については「それっぽい甘さとそれなりの着色で作り出した概念」と認識している。でも、もし本当に自分だけが認知できない感覚だったらどうしようという思いはまだ少しある。