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28歳独身フリーター、竹ノ塚ツブ子。夢なし!目標なし!彼氏なし!実家暮らし!人生暇つぶし!

雪の1月に思い出すこと

仕事が終わったら美容室に行こうか、カフェに行こうか、両方やってしまおうか考えていたけど、思ったより雪が積もってきたので、仕事が終わってからすぐに帰った。
人混みを避けて楽に帰りたいため、有料特急を予約した。時間を持て余したので新宿駅ビルの靴屋にフラッと立ち寄ったところ、ムートンブーツやスニーカーを買う人たちで珍しくかなり混雑していた。皆パンプスを履いて来ていた。
都心は雪が積もっていたけど、地元にはほとんど残っていなかった。新宿の靴屋で靴を買っていた人たちは報われただろうか。

1月に雪が降ると、大学1年生の頃を思い出す。ひとつ上の学年が成人式の日、私は地元の駅の近くの薬局でバイトをしていて、その日は雪が降っていた。
成人式が終わったらしい女の子3人が、晴れ着姿でやってきた。そしてそのまま何か商品を探すでもなく、しばらくホッカイロのコーナーの前にいた。
私が床のモップがけで店内をうろついていたら、偶然女の子たちの会話が聞こえてきた。「成人式あっけなかったねー」「ねー」たったそれだけだったけど、いつまでも覚えている。
家に帰るのももったいないし、友達と一緒にいたいけど外は寒いし、かといって振り袖ではカフェにもファミレスにも入れなくて、仕方なく薬局の片隅にいたのだろう。
翌年に私も成人式に行き、聞いていた通りあっけなく終わった。幸い晴れてはいたので、久々に顔を合わせた地元の友達と写真を撮り、一度解散して夜は中学校の同窓会に参加した。
成人式があっけなかったと言えるのは平和の証だなと、今になって思う。
妹のひとつ上の代から、地元では成人式に参加できない人が出てきた。ニュースにもなっていたが、着物業者が成人式当日に夜逃げしてしまったのだ。あの手のものは数年前から予約しておくものらしく、翌年の妹の代にも影響があったらしい。返金もされず、新しい振り袖を用意する資金も気力もなく、結局成人式には行かなくてもいいやとなった友達が何人かいたようだ。まあ、あれだけあっけなく終わる式に手間と金と時間をかけるのもな、と思う気持ちは分かる。夕方の同窓会なら別にパーティードレスでも構わないのだし。件の被害が落ち着いてきた頃には、コロナで成人式も同窓会もまともに執り行われなくなった。
「でも親としては、娘には振り袖を着てほしい気持ちはあるのよね」と母は言っていた。これは一昨日の話。最近は親の気持ちも少し分かる。二十歳まで健やかに生きられるのは、当たり前のことではない。当時の自分には、そのめでたさが分からなかったが。

今日会社で窓の外を見ていたら、同じ大学出身で同い年の子が「成人式の日って一緒だよね。あの日めっちゃくちゃ雪降ってたよね〜」と話しかけてきた。さも当たり前のように言われたので「確かにすごかったね〜」と返してしまった。その時私が思い出していたのは、薬局の片隅で突っ立っている振り袖姿の女の子3人と、床をモップがけをするエプロン姿の自分のことだった。おかしい。
入社してから今日まで、ずっと同い年だと思ってタメ口で話していたけど、もしかして……。しかし今更聞き返すこともできなかった。
しばらくモヤモヤしながら過ごすことになるだろう。

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