今日観た演劇の感想

禁煙41日目

［今日やったこと］
観劇。買い物。友人と食事。
「今日の家事手伝い］
なし
［今日のダイエット］
甘いものを飲みたかったが無糖にした。

昨日より元気だが、ブログを書く気になれないまま2時間経ってしまった。
今日は観劇に行ってきた。

終演してるので盛大にネタバレ書きます。
65分の一人芝居。莫大な財産のある女性が余命宣告をされ、生まれてくる我が子のためにあらゆるものを残そうと、自分の島に学校や遊園地や友達の家を建てるという話だった。役者もものすごく演技が上手くて、何にでもなれる上、空間も作れるのかすげぇと思った。脚本はシリアスとコミカルのバランスが素晴らしく、要するに超良かった。てか65分の一人芝居、ほぼノンストップでずーーっと喋ってるわけだけど、セリフ覚えられるのすごくない？
学生時代は月に1.2本小劇場の演劇を観ていて、私には箱推しの劇団がある。その劇団の公演を除いた、私の中の公演ランキングで、今回のは7年ぶりに1位を塗り替える勢いだった。泣きすぎてもう途中でやめてくれとさえ思った。
脚本を手がけた主宰の方も、演者の方もたしか独身のはずだから、実際に体験してはいない「母の気持ち」を想像で表現するのすげえ。私の周りは独身が多くて子どもを欲しがらない人も多いし、そもそも私自身独身を貫くので子どもとは無縁だ。生まれてくる子が幸せになる保証はできないし、私は世界が素晴らしい物だと思ってないので、こんなところに生を与えてしまうのがそもそも可哀想だし、自分が母になれるほどの度量もないと思っている、反出生主義寄りの思想だ。ので、子どもを産むことを肯定的に捉える気持ちが全然想像できなかった。
「迷うこともあったけど、私がやってきたことは全て正しかったと今は思える。あのひとつひとつのおかげでこの子に会うことができたから」というようなことを作中言ってて、理解はできるけど共感はできず、まあそもそも子どもいないから共感以前の問題なんだけど、単純になるほどと思った。そんなに、オセロが全部白にひっくり返るようなことがあるのか、すごいな。
それから貧困支援団体の偉い人と話すシーンで、莫大な資産からほんの少し寄付をすればこれだけの貧しい子どもが助かると説かれて「私、自分の子どものことで手一杯なの」と言ったところ「自分に子どもができると、世界中の子どもたちのことが気がかりになるわ」と返される場面があった。分かる気がするけど、分かると気持ちがいくらあっても足りなくなるし、結果的に子どもを育てるのは無理！と思った。身が持たん。
それ以外にも、子どもが成長する過程で必要になってくるものを今のうちから買い占めておこうと奔走し、しかしどう手を打っても子どもがグレてしまう想像が湧いてきて仕方がなく、そしてまた色んなものを島に作っていくというイタチごっこが延々繰り返される場面で、子育て難しすぎと思うなどした。
小学校低学年では、いつも綺麗な服ばかり着て羨ましいと服を切られてしまい、もう学校になんか行かないと喚く。少し成長すると、みんなわたしに媚びへつらうから学校行きたくないと言い出す。ネットの掲示板で偏った思想と汚い言葉を覚え、それを阻止するために母は島に教会を建てるが、もっと成長してから悪い彼氏と薬をキメて車で教会を破壊してしまう。どんなに手を尽くしても思うように育たない。無理やん。ママはあなたのことが心配で心配で仕方ないのよ。分かる。自分の手の及ばないところでどうしても悪意に触れて傷ついたり染まったりしてしまう。阻止しようがない。無理やん。私やっぱり子育て無理だわ。
あ、書いてて思い出したけどこれ一人芝居なんだよね。すごい。
最後、お腹にいる自分の子どもに「ママ、私のこと愛してる？」と訊かれて、名前も顔もどんな人に育つかも分からないけど、それでも愛してると答えた。愛とは。
最終的に、生まれてくる子どものために用意したものを、全て使用人に奪われてしまう。何も用意できず、名前をつけることすら辞めて、母は出産よりも先に亡くなる。お腹の子は帝王切開で生まれることになる。会うことのできない、守ることのできない子どもに、なぜ愛してると言えるのだろう。私の解釈だけど、愛するということは誰よりもその人の幸せを願うことなのではなかろうか。直接何かしてあげられることがなくても、できるだけ傷付かず、悪いことに染まらず、まっすぐに育つように願うこと。そういうことを愛と言うんだろうと思った。
27歳にもなると、こういう話が沁みるなあ。私の周りは多くは子どもを持っていないけど、いる人はいるもんなあ。依然として子どもはほしくないし、結婚もしたくない。でも私、愛する人はいるし、別にそれで今は充分だと思う。何か私から差し出せるものはないけど、幸せを祈ることが愛であれば。