。+:゚⋈根無草⋈:゚+。

28歳独身フリーター、竹ノ塚ツブ子。夢なし!目標なし!彼氏なし!実家暮らし!人生暇つぶし!

寿司音痴を直す

退職まであと63日。

 

休日である。今日は誰とも会う約束をしていなかったし、観劇などの予定もなかったので、時間を気にせず過ごせていつもよりメンタルの調子が良かった。いや、人と会うのは好きなので今後もお誘いお待ちしておりますが。いつもと違う過ごし方をすると、1日は長く感じる。

 

昼まで寝ていた。休日にぐっすり寝るコツを掴んだのだ。耳栓をして、次の日起きてからすぐの予定はブッチしてOKと心に決めてから寝ると、よく眠れる。歯医者を寝ブッチした。「次が最後ですねー」ともう4回ほど言われつつ通ってる歯医者だ。治療時間がやたら短いので、細切れに作業したい派の歯医者なのか、それとも10日周期で私の虫歯が増えてるのか。みんなぶっきらぼうなので、図太い精神を持ってまた予約しようと思う。私も一度相手方にブッチされているので。

 

仕事の事務作業をしたり、ゴミと皿の和物と化しているシンクを掃除したりした。誰かが家に来ない限り、どんどん汚くなっていく。コバエが沸いたりもしたけど、水攻めしてるうちに、ついにそいつらもいなくなった。

排水溝のぬめり取りを投げ込んでから、キッチンハイターを使おうと思って、やめた。私は化学も分からないし常識もないが、混ぜるな危険という文字を読むことはできる。死ぬところだったかもしれない。一人暮らしをしてると、家の中でも死の危険はたくさんあるなあと思う。

 

ここからが今日の本題である。

夜に一人で回転寿司に行った。前から一人で回転寿司に行きたいと思っていた。誰かと寿司を食べにいくと、見た目と味と名前が頭の中で一致するものしか食べることができない。寿司音痴なのである。私の魚の知識は中学2年生くらいで止まっているので、いくら、たこ、いか、マグロ、サーモンくらいしか実際よく分かっていない。あ、カニとホタテもわかる。サバとアジも多分わかる。アジはアジ専門店に行くようになってから覚えた。サバは食べるとよく吐くので覚えている。

いつか寿司屋に連れて行ってもらって「なんでも好きなもの食べていいよ」と言われた時、効率よく美味しくて好きなものを通ぶって食べたい。

ということなので、今日は名前と見た目が頭の中で一致してないやつらを片っ端から食べようと思って挑んだ。

近所の回転寿司に行った。同棲していた頃、同居していた人とよく一緒に行った店だ。同居してた人は海辺出身のためか、魚に詳しかったし、生魚の味にはとてもうるさかった。私なりに美味しいと思った海鮮丼の店に誘ったら、不味いし高いし待ってまで食べるものではないと言われてしまった。海育ちの人を生魚の店に連れていくのはやめておいた方がいい。私は内陸の、名物のない土地に生まれ育った。

まあそれはいいとして、そういう生魚にうるさい人がここは美味しいと言ってた回転寿司に来たわけである。接客もやたら丁寧で、逆にこちらが「なんかすみません」と言いたくなるほどだった。カウンター席に通され、注文自体は紙にネタの名前を書いて渡す形式だった。コロナのせいだが、隣との間隔はかなり空いてるし、いちいち声に出して頼む必要がないのであまり緊張しなくて済んだ。隣の人は常連らしく、たまに板前と談笑していた。

とりあえずよく分からないやつを頼んだので、忘備録として食レポを記しておく。食レポ能力の低さが露呈するがどうか目を瞑ってほしい。

[よくわかってないやつその① のどぐろ]

名前は聞いたことある。美味しいという話も知ってる。あとあんまり巷の寿司屋にはないらしい。見てびっくり、黒くない。黒くないんかい。これでは見た目が覚えられない。白い。柔らかくて脂だった。美味しい。今ネットで、魚本体の画像を見た。赤い。あとこいつ、アカムツって名前なの?覚えられない。でも美味しかったので、他の寿司屋であったら頼もうと思う。多分「え、おまえこんな見た目だったっけ」ってなると思う。

[よくわかってないやつその② カニ味噌]

さすがにカニの味噌であることは分かる。見た目も分かる。深緑色でゲル状。味が分からないので頼んでみた。思ったよりゲル状ではなかった。しょっぱい。味を覚えたのでミッションクリア。好んで食べようとは思わない。そもそもカニ味噌ってなに。とりあえずネットで調べたけど、脳みそじゃなくて内臓とのこと。赤いものを食べて育ったカニカニ味噌は赤く、雑食のカニは藻を食べるので緑色らしい。なるほど間接的に藻を食べていたのか。カニ味噌とウミブドウが両方メニューにあったら、ウミブドウ食べちゃうな。

[よくわかってないやつその③ えんがわ]

上ふたつに比べると安い。これはそこそこ覚えてきたものなんだけど、見るたびに「おまえそんなんだったっけ」となる。美味しい。硬くて食べ応えがある。イカと見せかけてイカじゃない。今日でちゃんと覚えた。

 

とりあえず上記3つを頼んで思った。二貫ずつ食べることになるから、思ったより種類を食べられない。一人外食のデメリットである。

 

[よくわかってないやつその④ ハマチ]

食べたけどよく分からなかった。名前を明かされずに出されたら、答えられないと思う。でもなんとなく味は想像できる。だから、「寿司と言えば?」と訊かれた時に頭に思い浮かんでいるのは多分こいつだったんだと思う。寿司の中で一番概念に近いんじゃないか。味?あんまり覚えてない。寿司という概念を摂取しなくてはならない場面に遭遇したら食べると思う。

[よく分からないやつその⑤ とろびんちょう]

トロの何かなんだとは思う。なんか見た目トロっぽいし。よく調べたらビンチョウマグロってやつなのね。脂っぽいかと思ったら、意外とさっぱりしていて食べやすかった。色が綺麗すぎて人工物感があった。

[よく分からないやつその⑥ つぶ貝]

板前さんがすっごく申し訳なさそうに「つぶ貝終わっちゃったんですよ〜」と言ってきたので、少し救われた気分になった。わりとお腹いっぱいになってたので。

 

5種類しか食べてないのだけど、もうお腹いっぱいになりかけていた。食べようかやめようか迷いつつ、お茶を啜ったりスマホいじったりしていた。板前さんから見たら、一人で寿司屋に来て急に険しい顔つきでお茶ばっか飲み始めた変な人に見えるだろうと思う。

まだ分からないやつがいくつかあった。小肌、さより、さわら、ホタテと牡蠣以外の貝全部。でも味の分からない二貫のために胃袋が受け入れ体制をとれるかだ。物足りない気もするし、なら知ってるやつ食べちゃおうかな。サバ以外で。サバは味はわかるし、嫌いではないけど、酒を飲むと100%吐く。

結局知ってるやつを最後に食べようと思い、イクラか玉子かで迷い始めた頃、「こちら今日がイベント最終日の○×※⬜︎炙りです。いかがですか」と、なかなか注文しない私を見かねてなのか、板前さんがネタを差し出してくれた。250円の皿であることをしっかり確かめつつ、板前さんとばっちり目があってしまったし、よく聞き取れなかったけどこれも縁だと思って受け取ることにした。

なんか食べたことある味な気がするなと思ったけど、思い出せなかった。見た目から、白身だとは思う。店内を見渡しても「本日のおすすめ」とか「最終日」とかの文字はないし、なんだかよく分からないまま口にした。

二貫目を飲み込めずに咀嚼してるとき、メニューの隅にようやく○×※⬜︎炙りが書いてあるのを見つけた。

「11月24日まで 金華とろさば炙り」

サバじゃん。サバ避けてたのに、サバじゃん。ていうかサバの味よくわかってないじゃん私。見た目も覚えてないじゃん。

酒を飲んでいないので、吐くことはないだろうとは思いつつ、私が真っ先に覚えるべき寿司ネタは、サバだったのだと思った。

 

食べられなかったネタがあるので、この件は再チャレンジしたい。